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「咲は、そのカノン聴いてみたいの?」
私は、如何にそのカノンの声が可愛らしいか力説する咲に尋ねた。
「死にたくはないけど、ちょっと興味あるかな?頭から離れないなんて余程だしね。」
ケーキを突っつきながら、咲が悪戯っぽく笑う。
辺り一面、白黒で目がチカチカした。
なんとなく、好奇心旺盛な咲ならそう言うと思った。
そのたまに旺盛過ぎる好奇心が、いつか良くない事を招くのではと私は不安が胸に浮かび上がった。
だがそれは単なる“杞憂”だ、と紅茶と共に胃に流し込む。
微笑む咲の後ろでは、夕陽がゆっくりと街を染めはじめていた。
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