都市伝説

5/38
前へ
/78ページ
次へ
「咲は、そのカノン聴いてみたいの?」 私は、如何にそのカノンの声が可愛らしいか力説する咲に尋ねた。 「死にたくはないけど、ちょっと興味あるかな?頭から離れないなんて余程だしね。」   ケーキを突っつきながら、咲が悪戯っぽく笑う。 辺り一面、白黒で目がチカチカした。 なんとなく、好奇心旺盛な咲ならそう言うと思った。 そのたまに旺盛過ぎる好奇心が、いつか良くない事を招くのではと私は不安が胸に浮かび上がった。 だがそれは単なる“杞憂”だ、と紅茶と共に胃に流し込む。 微笑む咲の後ろでは、夕陽がゆっくりと街を染めはじめていた。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加