都市伝説

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目が覚めたら、太陽が真上近くまで昇っている時間になっていた。 薄いブルーのカーテンでは、防ぎ切れない太陽の光で、部屋全体がうっすら青く染まっていた。 インフルエンザを患った部屋。 今この部屋に題名を付けるならそう、こんな感じ。 地の底へ落ちたかと思う程によく眠っていた。 “よく何もしていないのに、此処まで眠れるもんだ……。” と、自分でも半ば呆れる。 ふっと、机上で携帯電話のライトが点滅しているのが目の端に入った。 立ち上がる事すら億劫で、充電器のコードを引っ張り、たぐり寄せ見てみる。   無機質なディスプレイには受信メール一件の文字。 「ダイレクトメールかな?」  器用に上体だけを布団から起こし、カーテンを半分だけ開き、携帯電話を操作する。 横を向いた状態から、仰向けに寝返ると、夏目前の太陽がジリジリと私の目を焼いた。
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