出逢い

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あまりの言われように高杉は、無言となった。 急に黙りこんだ高杉に痺れをきらしたのか、吉田はさらに追い討ちをかける。 「晋作… 急に黙まらないでよ。気持ち悪いから」 「お前…最近、俺の扱い酷くね?」 「だって晋作だから」 高杉は、部屋の隅で落ち込んだ。体育座りをしてのの字を書きながら。 「おれなんて………俺なんて……」 その光景を見た吉田は引いた。 すると、突然足音が聞こえた。二人は、咄嗟に刀を握り一斉に扉を見た。二人に間に緊張が走る。 『ガラッ』 戸を開け、立っていたのは、久坂だった。二人は、肩の力を抜いた。 「なんだ、玄瑞か。敵だったら、真っ二つだよ。 で、終わったの?手当て」 「ああ。だから、呼びにきたのに……………。」 【味方ながら、恐ろしいな】 ふと、視線を落とすと高杉に傷が増えていた。 「稔麿、何で晋作が怪我してるんだ?」 「さぁ?」 吉田は、笑いながら答えた。 これをやったのは、稔麿か………。 おそらく晋作が稔麿に怒らせる事を言ったのだろう。晋作は、馬鹿だから。 「………お気の毒に………。」 久坂は手を合わせ、高杉に言った。 それに対して吉田は、 「くっくく。」 と笑いをこらえていた。 「稔麿、笑ってんじゃねぇ。玄瑞も酷すぎだろ!?」 「やっぱり君達は面白いよ。飽きない。それに玄瑞が酷いのは、今に始まった事では無いと思うけど」 「……そういえばそうだな。俺、川で水飲もうとした時、頭押さえられて死ぬかと思ったしな」 「でしょう?」 「稔麿と晋作は、私を怒らせたい訳?」 「お~怖い怖い。玄瑞って冗談通じないよね。 じゃあ、僕は狐の様子でも見て来ようかな」 そう言って、吉田はこの部屋を後にした。 「じゃあ、俺も」 その後を高杉が行こうとしたが久坂に呼び止められた。 「何だ?玄瑞、呼び止めて」 高杉は、久坂が口を開くのを待った。 「あの狐普通じゃない。出血が止まった。」 「それ普通だろ?」 【さっきから、稔麿と玄瑞が揃いも揃ってあの狐は普通じゃねぇと言っているが、あの狐は一体?】 「ここまではね。 傷口が塞がってるんだよ!!綺麗に、跡形もなく!!」 「嘘だろ…!?」 高杉は、目を見開いた。 あんな深い傷をおって、すぐに治る筈が無い。普通の狐なら… 高杉は、気が付きすぐさま下へと降りて行った。 「どうしたんでしょう?晋作の奴…………」
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