―夢―

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―夢―

深夜の薄暗い細道。 俺は何者か判らない"だれか"と歩いていた。 誰かわからない、かと言ってその"だれか"を知りたいとも思わない。 何故なら、此処は俺の夢の中だからだ。 毎週木曜にこの夢を何度も見ているせいで内容も全てわかっている。 「ズリッ・・・」何かを引きずるような嫌な音が響いた。 これも聞き慣れた。 そしてこの音が鳴ると直ぐに現れる"ひと"がいる。 その"ひと"は俺達にゆっくりと近づいてくる。 右手には包丁らしきもの、左手には何かを持っている。 その何かは薄暗いためよく見えない。 刃物の存在がわかったのは、壊れてカチカチ光る街灯の光に反射していたからだ。 だが、怖いとは思わない。 刃物を持っているからといって、襲ってくるわけではないからだ。 その"ひと"は俺達の隣をゆっくりと通り過ぎていく。 ここで夢は終わる・・・はずだったが何故か終わらない。 すると後ろから視線を感じた。 俺は直ぐさま振り向くと"ひと"がこちらを見ていた。 その強い視線に背筋が凍り付いた。
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