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「大変っすねぇ。祭日だってのにコソドロのお相手なんて、やってらんないっしょ?」
梁に腰掛け叫んでみたものの、その声は耳に入らないのか、ただあちこちであそこだ、捕まえろ、という声が上がるばかり。
「なんや、せっかくかわいそうな警察の皆さんにクリスマスの演出をしてあげよう思たんに、せわしないなあ」
余裕を見せた三つの影をどうにか捕まえてやろうと右に左に慌てふためく一同を見下ろし、なあ?と顔を見合わせる。
到底届かない脚立やロープを持ち出し、わあわあと手を伸ばす滑稽なさまを彼らは暫く笑って眺めていた。
が、やがて飽きてきたのかポケットから小さな器具を取り出し、天井についた小さな機械にそれを数秒近づけた。
「いつも遊んでもらってるお礼にこれ、私らからプレゼントだから。受け取ってね?」
やがて響き始めるのは、今も鳴り続ける非常ベルに上乗せされた警報サイレン。
耳を塞ぎたくなるようなけたたましい騒音の中、室内の至る所に設置された消火装置が作動を始め、白い泡のような薬剤が一斉に吹き出し始める。
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