1人が本棚に入れています
本棚に追加
メモに書いてある住所のアパートに着いた。
「え…?」
そこにあったのは時代を感じさせるボロいアパートだった。
部屋番号は9番…
普通のアパートなら4番と9番はないらしいが…
このアパートには全部あった。
「『苦』か…」
僕は苦笑した。
「あ!!君が新しいおとなりさん♪?」
妙にテンションの高い男の人が隣の部屋から出てきた
「え?あ!尾崎透です!よろしくお願いします!」
「あ~、そんな堅くならないで~♪野蒜(のびる)煮たから食うかい?」
「え!?いや…荷物の整理があるので…気持ちだけ…。(…てか野蒜って雑草じゃんか…)」
「そお?じゃ~いいやー、一人で食べちゃうもんねー♪」
彼はルンルン気分で自室に戻って行った。
「名前聞くの忘れた…」
そして初めての一人暮らしの一歩を踏み出すべく『苦』の扉を開けた。
見事に何もなかった。
分かってはいたけど、ここまで何もないとなんだか少し寂しい。
最初のコメントを投稿しよう!