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「ベランダは中から私が見てるから、お前は玄関を外から見張れ」
「分かったっス」
「誰かアパートに近づいて来たら電話しろ。それから適当に私からも電話する」
「分かったっス」
返事をすると車に乗り玄関やその周囲を見た。誰も居ない。一息つく。缶コーヒーが欲しかった。あの女と、ローチと離れただけで肩の荷が降りたようだ。ハンドルの上に両足を乗せた。
しかし一分もしないうちに人影が現れた。学生風の女が徒歩でアパートに近づく。どう見ても犯罪とは無縁だ。少し迷ってローチに電話した。
「どうした?」
「女が一人、アパートに近づいてるっス」
「分かった」
ローチが玄関から出て来た。右手はポケットの中に入れ拳銃を握ってるのだろう。
「いるな」
二人で、その女を見ていたがアパートの前を素通りした。
「あんなのでも近づくたびに電話した方が良いんスか?」
「一応、電話しろ」
通話を終了したローチは部屋に戻った。
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