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病院の廊下は当然だがチリひとつ落ちてない。代わりに薄暗く消毒液のにおいが充満していて不気味だ。
看護婦達が患者達が使い終わった食器を運んでいる。エレベーターの前には、これから手術を受けるのか車輪付きのタンカに乗せられた老人と数人の医者、それに家族がいた。
つい、そいつらの手を見てしまう。武器を持っていたら応戦しないといけない。慣れない事に少し緊張し過ぎたと軽く深呼吸した。
ローチはコッピーの前を、俺は後ろを守っていた。ローチもポケットの中の拳銃を握っていた。それでも適度に集中していて俺のように緊張はしていないようだった。
悔しいが頼れる女だと認めないといけない。
男が一人こっちに視線を向け笑顔で片手を上げる。後ろを振り返り誰も居ないのを確認し
「知り合いスか?」
小声でコッピーに誰か聞く。
「お兄ちゃんだよ」
コッピーは小走りで男に近づきその腕に抱きつき甘えた声を出す。
「お兄ちゃん、今から帰るの?」
男はコッピーの頭を撫でながら答える。どうやら兄妹の仲は、かなり良いようだ。
「ああ。いつも通り六時に帰って来たけど、夜、食べたりしてて少し遅くなった。あの人達は?」
どうも俺とローチの視線が気になるようだ。兄妹で、こんなベタベタしてる姿はあまり人には見られたくないのだろう。
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