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病院の廊下を歩き外の駐車場へ向かう。病院は静かにする所だからか他の患者や医者も声を出さず無闇に大きく響く足音だけが耳につく。
それに耐えられなくなったのかローチが口を開いた。
「お父さん…どうなんだ?」
会話がない事に耐えられなくなったと思ったが、そうではないようだ。初対面に近い人物だが心配しているのだろう。
「もう長くないって」
沈んだ声で答える。
「そうなのか」
ローチはコッピーの肩を抱き寄せた。
俺はこの場にいない方が良さそうだが仕事上そうは行かない。
「お父さんには言ってないの。このまま黙ってた方が良いのかな?」
普段のローチは適確に指示を出してる姿しか見せないが流石に、こんな微妙な質問には答えに詰まった。
「それは…」
数秒の沈黙。俺が聞かれなくて良かったと胸を撫で下ろす。
「ごめんね。こんな事、私の問題だよね」
「私こそ、ごめん」
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