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反射的にコッピーの頭を押さえ地面に伏せさせた。ローチが一発だけ応射した。
後ろで悲鳴。見ると、さっきの中年女性と青年が地面に転がっている。
普通マフィアでも一般人は巻き込まないよう注意するものだが犯人は違った。手柄の前に、あんな危険人物を放っておく訳には行かない。
ローチの応射で止まっていた銃撃が、再開された。目の前の地面に着弾する。相手は素人だが、このままでは俺やコッピーに当たってしまう。
無理があったが力づくでコッピーを抱えて地面を転がった。コッピーは顔をどこかにぶつけたが気にしてる場合ではない。
銃弾が飛んで来る方向に視線を向けた。暗い中で光る銃火がひときわ目立っていた。なぜあんな目立つのに、もっと早く見つけられなかったのか。
懐のイングラムを手にした。ホルスターのボタンが硬く目一杯の力で外すと本来、右手で外す安全装置を、使い慣れてないから左手で外した。
ようやく反撃が出来る。ここまで実際の時間は、ほんの数秒なのだろうが何十分もかかったように感じた。
犯人は駐車している車の陰から顔を出して撃っている。その後ろに一般人はいない。いたとしても他に車はたくさん停めてあるから、そこで弾は止まるだろう。
とにかく撃たないと命が危ない。一瞬でも反撃をためらった自分をバカだと思った。
伏せたまま銃口を相手に向け引き金を絞る。
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