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私は草原を走っている。
走りながら後ろを振り返ると、月の光に照らされている黒い影が2つ見えた。
やはり、追っ手は2人いたのだ。
私は、前を向いて逃げることに集中した。
私は走った。
後ろが気になるが、私は走った。
草原の中間あたりにきたとき、足に何かが引っかかった。
私は勢いよく前のめりに倒れてしまった。
身体中に激痛がはしる。
胸を強打してしまい、息がつまる。
呼吸を粗(あら)くしながら足下を見ると、草が輪になるように結ばれていた。
―――罠ッ!!?
激痛をこらえながら急いで立ち上がるが、時既(ときすで)に遅かった。
目の前に、黒いローブを着た追っ手が立っていた。
慌(あわて)て後ろを振り返ると、後ろからも追っ手が2人走ってきた。
そこで私はわかってしまった。
本当は追っ手は3人いたのだ。
だが、私を追っていたのは2人だけ。
残りの1人はここで罠を張っていたのだ。
そして、私はまんまとその罠にハマった。
私は、最初から知らず知らずのうちに奴らの狩り場に誘導されていたのだ。
私は、絶望した。
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