~第1章・月光花~

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私は、3人の追っ手に囲まれてしまった。 3人はジリジリと距離をつめてくる。 もうダメだ。 逃げられない。 私は、膝から崩れ落ちた。 限界だった。 もう立つ力も叫ぶ力もなかった。 身体に力が入らない。 走り続けて死の恐怖を目の前にして、心臓がバクバクと脈打ち、大量の汗が流れ、意識が朦朧とし、息が粗い。 膝がズキズキと痛い。 見ると、膝から血が出ていた。 さっき転んだときに、膝を擦りむいたようだ。 涙が止まらない。 恐い。 怖い。 コワイッ!! こんなことなら、“イリス”と別れるんじゃなかった!! 私には、やらなければならないことがあるのに!! こんなところで、殺されるなんて!! もう、身も心もボロボロだった。 追っ手の1人が、ナイフを振り上げた。 避けられない。 私は、声にならない悲鳴をあげた。 誰か!!助けて!!!
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