料理は見た目じゃなくて味でしょ

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 朝、仕事の前にいつものようにリナは厨房へと顔を出した。入った瞬間にいつもと違う違和感を感じつつも「おはよう」とスタッフに声をかけた。 「……ああ」 「どうしたの? みんな今日いつもと違うけど」  ふと蒼斗がお仕置きだと言っていたことを思い出した。 「蒼斗が」  リナが蒼斗の名を口にした瞬間に何かが落ちる音とスタッフたちがびくりと震えて固まった。  蒼斗が言っていたお仕置きとは厨房のスタッフに向けてだった。そして、それは一晩経った朝でも引きずる様な内容だったのだろう。  何をされたのか聞くのも怖くなり、同情の眼差しを送ってバスケット手にすると丘を駆け上がる。 「そらぁぁぁぁ! おはようっ!!」  仏頂面にリナは豪快に笑って見せた。  また始まる賑やかな一日にリナは高揚感に満たされていた。
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