プロローグ

2/10
前へ
/38ページ
次へ
  ────私は殺されてしまう 私達はいつも三人だった。 どこへ行くのも、毎日一緒。 街に行くのも、山に行くのも、海に行くのも。 ずっとずっと一緒だった。 だけど彼等と私は、ある一つの点で決定的に異なっていた。 彼等の間には、切っても切れない絆があった。 双子だという、誰もが得られる訳でない特権を、彼等は持っていた。 私はそれが羨ましかった。 だけど、それだけじゃない。 私が本当に望んだのは、彼等の様に"普通の人"であることを、ずっと夢見てきたのだ。 私が《魔女》でなければ、ずっとずっと、彼等と一緒にいられたのかな。 そうすれば、こんなことにならなかったのかな。 ────ねぇ、シド、ミーシャ…… 私の前にスラリと立つ若い紅髪の男が、泥水のように淀んだ瞳を、私に向けている。  
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加