29人が本棚に入れています
本棚に追加
黒い鎧の男は斬られた鎧を持って逃げる体勢をとっている。
「逃がすかよ!てめーはここで捕まえるんだ」
俺は男を追い掛けようしたが、足が何故か重く男を追う事が出来ない。
他の兵士が男を捕まえようとしているが、素早い動きで避けて、すぐに正門から町を出て行ってしまった。
「くそっ!…逃がしたか」
久しぶりに力を解放したせいか。そのせいで足に疲労がきてしまったんだな。俺はそのまま地面に倒れ込んでしまった。
「リュート!大丈夫!?すぐに怪我治すから!」
弾丸も喰らったからそのせいもあるな。腹部辺りが急に痛み始めた。力を解放している時は平気だったのにな。
レイラも魔力具を持っていて、その力は治癒能力。怪我などを治す事ができる力だ。
「久しぶりに力を使い過ぎたみたいだ。…レイラもあまり使いすぎるな。俺みたいになるぞ?」
「バカ…。怪我している人を目の前にして、使わないなんてできないわよ。それにあたしは毎日少しずつ使ってるからすぐにばてないわ!あんたと一緒にしないでよね」
…きついお言葉だな。このまま目を閉じれば安らかに眠れそうだな。死ぬみたいな言い方だが死ぬわけではない。
「シ、シルヴァインが帰って来たぞ!!やったぜー!」
「すげぇーな!やっぱ本物は違う!」
町の皆が倒れている俺を見て言った。シルヴァインが帰って来たか…。俺は過去の人物だと思っていた。よく一躍時の人になっただけの人物。
でもこうやって強敵を退けて、町の皆から喜ばれるのは悪くないな。…本当に昔の俺が戻って来たって感じがする。
最初のコメントを投稿しよう!