命の海:アローネ海 第1法章 命出逢う日

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《幾たびもの輪廻を巡りて また出逢うこの日 孤独な旅の切なさも 貴方との逢瀬で喜びと幸せに生まれ変わる》 セアエルの生命観では、死とは世界に普く自我の希薄な魂に戻ることであり、誕生とは確固たる自我を以てそこから独立することである。その輪廻転生のもとでは、死とは永遠の別れにはならず、次の生でまた出逢う運命があると信じられている。 生まれる前は同一であり、前世で愛し合った魂の半身と別れる誕生とは、孤独な旅の始まりだった。しかし、その旅路を生き抜き、この満月の日にまた魂の半身と出逢い、愛し合える。それは、それまでの孤独さえも、その切なさが愛を深めてくれた、という喜びに変えてくれる。 命はこの出逢いによって、生まれた喜び、そして生まれた意味を、本当の形で感じることができる。
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