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「……んで、訊きたい事ってなんだ?」
ヴァルガが溜め息をつきながらエリアスを見つめる。
「さっき言ってた『万象術』って何なんだ?聞いたことがねぇんだが……」
「正確に説明すると長くなるから簡潔に言うと、お前のような『異端者』もとい、『神力者』が自然の力を借りて使う術だ」
ヴァルガが近くにあった焼け焦げた木の方に歩いていくと、その木に寄りかかる。
「魔術がマナを集めて発動するのに対し、万象術は自然界に存在するあらゆる物そのものに干渉することで発動し、その威力はどれだけ自然の恩恵を得られるかで変わる」
ヴァルガは一通り説明すると、木から離れてオリフィナが歩いていった方に向けて歩き出す。
「俺の説明は以上だ。んじゃ、俺は先に聖都に帰らせてもらうぜ」
「おい」
去ろうとしていったヴァルガをエリアスが呼び止める。
「何だ?」
ヴァルガは歩みを止めると、エリアスの方に顔を向けた。
「お前がこの火事を起こしたんじゃないのなら、いったい誰がこの火事を起こしたんだよ?」
「わからないな……だが、案外この近くにはいるんじゃないのか?ちょうど、向こうの方に気配を感じるしな……」
ヴァルガはエリアスの後ろにある小道を指さすと、再びゆっくりと歩き出す。
「んじゃ、またどこかで会おう!」
ヴァルガはそう言うと勢い良く走り出し、あっと言う間に森の中へと消えていった。
「……とりあえず、あいつが今指差した方向に行ってみるか……」
エリアスは若干腑に落ちないような気がしながらもゆっくりと森の奥に向けて歩き出した。
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