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エリアスが森の奥地へとたどり着くと、そこには火の海になっていた。
「どうなってんだ……これは…………うおっ!?」
足元にある何かで躓いたエリアスは、そのまま地面に倒れる。
しかし、その地面は地面と言うにはあまりにも柔らかく、チクチクとした感触がしていた。
「ったく……なんだこれは……って、エッグベア!?…………死んでる……のか……?」
エリアスは大きな熊のような姿をした魔物、エッグベアの身体を見回してみる。
エッグベアの胸には何かで貫かれたような穴が空いており、明らかに生きているとは言えなかった。
(どうしてこんな事になってるんだ……明らかにこれは人為的なもの……)
「おう、一足遅かったな。そいつなら俺が倒しておいたぞ」
「誰だ!?」
燃え盛る木の上から声が聞こえてくる。
エリアスがふとその方向を見ると、木の上から真ん中で分けた銀色の髪を靡かせ、右腕に槍を構えた男がエリアスの前に飛び降りてきた。
だが、彼がその身に羽織った服には左の袖はなく、槍もただの槍と言うにはあまりにも複雑な造りをしていた。
「ただのしがない魔物狩り……と今の所は言っておく。まぁ、何と名乗ろうともお前のような騎士とは考えも違うだろうが……」
「この炎もてめぇがやったのか?」
「俺じゃあない……と言った所で、信じてはくれないんだろう?」
「当たり前だ……!」
エリアスは剣と拳を構え、男を睨みつける。
「なるべく戦いは避けたかったが……仕方ない、相手になろう」
男も右手で巨大な槍を担ぎ上げると、エリアスを見つめて小さく微笑んだ。
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