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「その槍は……」
「『砲鎗(ホウソウ)』と呼ばれる種類の武器だ。まぁ、説明するよりは実際に戦った方が分かりやすいだろう?」
エリアスに砲口を向けて男がニヤリと笑う。
その様子を見てエリアスも拳と剣を構える。
しかし、男は一度ため息をつくと再び槍を肩に担いだ。
「……と言いたいところだが、生憎、俺も暇じゃないんだ……俺は帰らせてもらう。だから、アシュラインによろしく伝えてくれるか?」
「断る……テメェは牢獄行きだ……帰らせはしねぇぞ……」
ゆっくりと立ち去ろうとした男に向けてエリアスが剣先を向ける。
「仕方ないな……『紅蓮砲(グレンホウ)』!」
男はそう呟くと、エリアスに砲口を向け、躊躇いもなく引き金を引く。
すると、炎の球が砲口から放たれ、エリアスに向かっていった。
「くっ……!」
エリアスはそれを右に跳んでかわす。
すると、エリアスが元々いた場所……その背後にあった木々が音を立てて倒れていく。
「てめぇ……何しやがる!」
エリアスはその様子を見ると男を睨みつけそう叫ぶ。
「狙ったのはお前じゃあない。ほら、向こうをよく見てみろ」
男は元々エリアスのいた場所の背後にあった木々に槍の先を向ける。
エリアスがその方向をみると、土埃の中にうっすらと人影が見えた。
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