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「覗き見なんてらしくないな……アシュライン」
男がそう言うのと同時に土埃からオリフィナが姿を現す。
「まったく……あなたはもっと穏便な解決方法を思い付かないのですか?ヴァルガさん……」
オリフィナがため息をついて男、ヴァルガ・ファルデュオンを見つめる。
その目には先程のような威圧感が感じられたが、ヴァルガは一切動じていなかった。
「お前の部下の神力者が聞く耳を持たないからじゃないのか?」
「それは否定しませんけど……」
オリフィナはエリアスを見て再びため息をつく。
「ぐっ……そ、それよりも周りの炎をどうにかしなきゃならねぇだろ!」
エリアスはそう叫んで二人の方を見る。その時、オリフィナの剣からカチンと言う音が聞こえた。
「『瞬嵐旋風剣(シュンランセンプウケン)』……」
オリフィナがそう呟いた直後、三人の周囲に暴風が吹き荒れ、木々の炎が消えていく。
そして風が吹き止むと、周囲の木々の炎は消え、焦げ臭い匂いだけが残っていた。
「ふぅ……こんなものですね」
「はははっ!流石はレイグルの女王と言うところか……」
ヴァルガは高らかに笑うと、オリフィナの方を見て何度も頷く。
「騎士団を率いる者としてこれぐらいはできなくてはいけませんもの……」
「そうか……では、やるべき事はやったんだ。聖都へ行くとしようか」
「おい、ヴァルガと言ったか?ちょっと聞きたいことがある」
エリアスは、オリフィナを連れて去ろうとしたヴァルガを呼び止める。
エリアスのその目はいつになく真剣で、その様子を見たヴァルガはオリフィナを先に行かせ、エリアスに向き直った。
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