プロローグ

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 ☆★☆★☆ 「……はあ」  幸也から持ちかけられた相談に対する、第一声がそれだった。  無理もない。もう十一月も半ばだ。高二であるおれたちは、そろそろ進路だとかを真面目に考えにゃいけないし、文化祭、体育祭、修学旅行といった主なイベントは全て終了してしまった。だというのに恋バナだ。  ……恋バナなのだ。 「嗚呼、ぼくはどうしたらいいんだ……わかるかい、道之?」 「告白でもすればいいんじゃないのか?」 「ううむ……やっぱりそうだよね……そうなんだよな……」  険しい顔をしてうんうんと唸る幸也。童顔のこいつにはそんな様子は似合わなくて、ついクスリと笑みが漏れる。  今おれたちがいるのは学校の屋上だ。本来は立ち入り禁止なのだが……、どうしてもと幸也にせがまれて、こいつの幼馴染みであるところのおれと明日菜の二人はここに来たわけだ。  同じく相談を受けた明日菜といえば……むっつり口をへの字にして瞑目してやがる。我関せずの構えか? わからんが話題に関わるつもりはないらしい。  ……おれに、どうしろと?
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