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一週間前に告げられた学校入学に合わせ、私は二日前にルリアと共に帰ってきた。
五日間という短い時間だったが、暴れるのに付き合ってくれたため、溜まっていた色々なものが発散された。
これで、しばらくは安心して構わないだろう。
フォントセナードの中心に存在する『ギルド』――創世の緋――に、私たちは帰ってきた。
セナード王国の首都フォントセナード。そんなご立派な街にあるギルドに、私たちは所属している。そして、そこが私たちの家だ。
外見は金持ちの屋敷の様で、装飾も煌びやかだ。一歩中に入れば、そんな装飾なと一つも見当たらず、むさ苦しい汗と血の臭いが出迎えをする。白かったはずの壁には、何とも言えない赤いシミがある。綺麗だったはずの建具には、刃物の傷や拳の跡が残ったままだ。
幼いころから住んでいるとはいえ、いつまでたっても臭いしえぐいと思う。それはルリアも同じ、いやそれ以上に嫌悪しているようだ。
ふと見てしまった綺麗な顔には、臭いとでかでかと書かれている。左手で鼻を摘んでいる様は、何か非常にもったいない。気にしているのは臭いだけのようだ。
「相変わらず臭いなぁ。あの赤いシミはガイの鼻みたい」
「文句はあいつに言え」
ルリアの文句を聞き流して、受付でガイ――マスター――の部屋へ通してもらう。
前もって話を通すのは、ガイがいないか確認しているだけだが。ルリアの場合、気にとめず部屋に入って惨事を起こす。扉を開けることを覚えるのに、扉が千枚近く犠牲になるくらい。
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