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「自分が普通だとはよく言ったものだよ、あの子」
男は、彼がいなくなったゲートステーションのホームを見渡す。
“門”たる電車に乗せた彼は迷うことなく町のそばにたどり着くはずだ。
彼に与えたもの。それは限りなく後衛向きの能力。鍛えてなくとも、剣術などしていなくても世界最強になれるだけの圧倒的な力。
でも、彼は我慢できないだろう。
彼は自分の手で斬りたいだろうから。
男は笑う。彼の前で読んだ一枚の紙、これには彼のことについて特記すべき内容だけが記されているものだ。
「君が浚って殺してきた子たちは「おいしかった」のかな、深桜君?」
そうして男――モートは笑った。これからしばらくは楽しめそうだと思いながら……
「あ、異性にはモテない呪いかけたの忘れてた。ま、いっか☆」
と、全てを台無しにして白い空間を後にした。
ゲートステーション総合責任者。悪魔の姿を借りて現れた男。自称神。炎と死を司る彼は間違いなく“門”だった。
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