0:ただの学生

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深呼吸を一つして俺は再び白い空間の「ゲートステーション」入口らしきものを見つめる。 若干厨二病の気があるとは自負しているが、だからこそ現実と二次元の混同はしてはいけない禁忌であると思っている……思ってはいる、のだ。 しかし、この状況はどうみても。 「陳腐なネット小説の冒頭、主人公が死んでたどり着くような場所だな……」 ぼそりと呟く。その声はいつも通りの声でちゃんと声がでることに少々安心したと同時に一つ、俺は気づいてはいけないことに気づいてしまった。 「俺、死んだ?」 「YES、深桜君は音楽を聴きながらぐっすり寝てる間に隣宅の火事に巻き込まれてきれいに燃えちゃいました!」 「そっか俺死んだのか……って、え?」 ナチュラルに会話に混ざってきた声の主を捜そうと辺りを見回すと、いつの間にかゲートの上に立っていたバカっぽい金髪の男が「とう!」という掛け声と共にゲートを蹴りとばしてこっちに駆け寄ってきた。 金髪、褐色の肌、紫の瞳のバカっぽい男はどっかの二千百八十八歳のダークヒーローが現実にいたならこんな感じだろうと思わせる容姿をしており、現実世界でみたならレベルの高いレイヤーだなあ、と思わせるほどだ。声も無駄にいい。 しかしこの謎空間である。 正直反応に困るというか、状況整理すらまともにできていないのが現状だ。目を凝らしてみると蹴りとばしてきたゲートは見事に壊れていた。 「えっと、あなたは……」
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