0:ただの学生

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「いやいや失礼あのような簡素なゲートで急いで僕が作ったものだったものでねそうそう君は僕のことを知らないだろうから自己紹介をしよう僕はこのゲートステーションの総合責任者名前は“存在しない”のだが便宜上君の一番理解しやすいだろう名称神というものの一柱にしておくよ姿も僕の存在上目で見て認識するようなものじゃないから少々君の記憶の中にあるもので一番僕に近い印象を持っている想像上のキャラクターだっけそれの外見をお借りしているまったくこの世界の人間に魔法を与えなくて正解だよ魔法みたいな恩恵がなくとも叡智だけでどうにかしていけるしね魔法を捨てる代わりに魔物を無くしてくれと言ったあの知恵の主はやっぱり偉大だね昔から魔法なんか使ってないから創世からの濃厚な魔力が使われずに残っているのはいささか残念だけど逆にそのことが今回の発案にも至ったわけだしねああそう君を選んだのは単純に書類から完全ランダムに選んで人を選んでダーツで異世界に誘拐するという企画の当選者であって決して僕がダーツで遊んでたらうっかり転んで書類にダーツの穴をあけちゃったわけじゃないからね」 マシンガンのように話し始める目の前の人物に圧倒される俺。 ちなみにここまで息継ぎなし、その上関係ない情報やら脱線が多すぎて全く理解ができない。 「すみません、簡潔に頼んでもよろしいでしょうか」 「私は神です、貴方を異世界に拉致するために殺しちゃいましたてへぺろ☆」 「オーケー把握したさっさとなにも言わずに俺をふつうに生き返らせるか殺してくれ。ほれ、神様ならできるんだろ」 元々うざいキャラをしている某ダークヒーローフェイスでのてへぺろ発言はなかなかこちらの心を折るに足るものだった。思わずそのような言葉が口から漏れる。 その言葉に目の前の男の表情が笑顔に変わる、その笑顔に込められているのは――濃厚で明確な「殺意」。 「そうか、まあでも君に拒否権はないよ。 僕が君に決めたんだから君には異世界に行ってもらう、これは決定事項で君はそれを 『抗おうとも思わず受け入れろ、そして人間風情が俺に嘗めた口をきくな』 以上」
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