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先ほどの軽い印象から一転し、その声には笑顔同様殺意が籠もっている。
出来のいいレイヤーとかそんなちゃちなものじゃない、俺が生きてきた中で一番の……間違いなく人間を越えたものの「殺意」だ。
そんなものに俺が抵抗できるわけがなく、足腰の力が抜け思わず白い床にへたりこむ。抵抗しようなんて思わない。
呼吸が浅くなる。これが、きっと、差なのだ。
かすかに残った理性で大人として決壊してはいけない堤防をせきとめるのが精一杯だった。
恐怖で涙目になりながら震えている俺に対し「反省したならいいんだよー深桜君」と最初のようなふざけた調子で言う。
いつの間にか先ほどまでの威圧感は吹き飛んでおり、ただ目の前の自称神の男の言葉を抗わずに受け入れる。
「まあまあそんなに萎縮しないでねー次やったらただ君の拉致する先を億単位で時の流れない孤独で果てのない世界にするだけだからさ!
あ、あとこのままだとすぐ死んじゃうし拉致する際に君たちの言葉で言うなら“ちいと”だっけ? そんな感じの力を君にサービスしちゃうぞ!」
そう言っておとぎ話の魔法使いが振るような、先端に星のついたステッキをどこからか取り出しちちんぷいぷいと唱える。
その動作はどちらかというとどっかの灰かぶり姫に出てくるカボチャの馬車を作り上げる魔女の動作であったがそんなことはどうでもいい。
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