1.別れ前提の恋をしろ

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「そいつ、えみりちゃんの知り合い?」 「……うん」 「悪いけど、小さい男だね」 そう吐き捨てるようにつぶやいて、やつは腕を組んだ。 最初から煌が気乗りしない様子だったのは、面倒に巻き込まれるのを薄々察知していたからなのだろう。 「正直、仕方ないじゃんって思ってる」 えみりちゃんは目を伏せた。 「でも……私にも、あの子を紹介した責任があるの」 「考え過ぎだよ。こんなのいちいち気にしてたら、合コンなんて一生できやしない」 煌は優しい口調で、沈んだ面持ちのえみりちゃんに語りかける。 「……彼、そんなことまで君に求めたの?」 彼女は何も言わずに烏龍茶を飲んだけれど。 答えは目に見えて明らかだった。 えみりちゃんを送って、煌の住まいに戻った。 僕らは何故かずっと黙りこんでいたけれど、部屋に入ると気が楽になるのか、自然と口が開く。 「少し飲もうぜ、いぶ――何がいい」 「生酒な気分」 「悪い、生憎切れてる」 「じゃ、煌と同じやつで」 煌は一度キッチンに消え、バドワイザーの缶を四本持って戻ってきた。 居酒屋での話を思い出したのか、やつはいまいましそうに顔をしかめている。 「……ったく、よっぽどひどいフラれかたしたんかな、そいつは」
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