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「そいつ、えみりちゃんの知り合い?」
「……うん」
「悪いけど、小さい男だね」
そう吐き捨てるようにつぶやいて、やつは腕を組んだ。
最初から煌が気乗りしない様子だったのは、面倒に巻き込まれるのを薄々察知していたからなのだろう。
「正直、仕方ないじゃんって思ってる」
えみりちゃんは目を伏せた。
「でも……私にも、あの子を紹介した責任があるの」
「考え過ぎだよ。こんなのいちいち気にしてたら、合コンなんて一生できやしない」
煌は優しい口調で、沈んだ面持ちのえみりちゃんに語りかける。
「……彼、そんなことまで君に求めたの?」
彼女は何も言わずに烏龍茶を飲んだけれど。
答えは目に見えて明らかだった。
えみりちゃんを送って、煌の住まいに戻った。
僕らは何故かずっと黙りこんでいたけれど、部屋に入ると気が楽になるのか、自然と口が開く。
「少し飲もうぜ、いぶ――何がいい」
「生酒な気分」
「悪い、生憎切れてる」
「じゃ、煌と同じやつで」
煌は一度キッチンに消え、バドワイザーの缶を四本持って戻ってきた。
居酒屋での話を思い出したのか、やつはいまいましそうに顔をしかめている。
「……ったく、よっぽどひどいフラれかたしたんかな、そいつは」
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