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* * *
「響ー!」
遠くから名前を呼ばれる。
小さな女の子がピョンピョン跳ねながら、体育館に続く廊下を走ってくる。
……茉莉だ。
「……よ!おちびちゃん!」
「チビじゃないし!」
いつも通りの会話。
失恋した、なんて誰も思わねぇ。
うん、大丈夫大丈夫。
「帰り、ミスド行くかー?」
やっぱりまだ隣にいたくて。
気づくと口に出していた。
「んーん。今日はサキチャンと。」
「サキチャン?」
「女バレの子!……てか、あれ?響知らなかったっけ?」
サキチャン、サキチャン…?
どっかで聞いたような。
「ほら、港祭りで。私と一緒にいた子!」
「あーあーあー!いたね。いたいた!あの子か。…港祭りの日は優太の件で必死だったからさ。」
「あー、優太ね。まだ告れてないんでしょ?」
茉莉はニヤニヤしながら笑ってる。
「……茉莉、うるさいよ?」
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