ヒカリの絵の具

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ぼく、もういかなきゃ。 もういってしまうの。 うん、もうすぐ、日もくれるから。 そっか、じゃあ、バイバイ。 うん、サヨナラだね。 明日もくる? どうかな、おてんとさまが、僕をココへ届けてくれたらね。 あなたは、だれなの? ぼくは、キミのおむかいにすんでいる子さ。 そのとき、窓から真っ赤な日差しが差し込んだかと思うと、あたり一面が真っ白なヒカリに包まれた。 でも、最後に。 忘れないで、キミがここにいるとわかるのは、ヒカリをまとっているからだということ。 きみは、キレイだよ。 ありがとう。あなたは、キラキラしているのね。 どういたしまして。 サヨナラ、きみと会えて、よかった。 いかないで。 いつか、会えるよ。 かならず? うん、必ず。 それが少年と少女の交わした、さいごの言葉だった。 カラン、とこおりが溶けて、すこしグラスのしたのほうへ落ちた。 しゃわしゃわとセミの声が重なって、部屋中を満たした。 カレーのにおいがこの部屋まで漂ってくる。 彼女のお母さんの呼ぶこえがした。 「はあい、いまいきます。」 そうして少女は、ひとり絵の具を片づけた。
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