24人が本棚に入れています
本棚に追加
/132ページ
ふわりと香るのはカナルの花の麝香の匂いではない。
どこか懐かしい香りが空気に漂っているようだ。
ユリティアはそっとカップを持ち上げ、紅茶を口に入れる。
『……これは……』
誰かと昔に飲んだような気がした。誰かを思い出すことは出来ないが。
ぽとりとテーブルの上に一粒の滴が落ちる。
ユリティアはカップを下ろし、顔に手を当てると、目に涙が溢れていた。
『どうして私、泣いているの?』
最初のコメントを投稿しよう!