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グレイユが紅茶を飲むと懐かしい味が口に広がる。
『これは……まさか!!』
グレイユの頭に浮かぶのはあの日々。
ほとんどの人は忘れてしまった過去の記憶。
グレイユとシャンテール、ツクヨミしか知らない‘彼’のこと……そのなかにこの紅茶の味が浮かぶ。
‘彼’がよく出してくれた紅茶の味によく似ていた…いや、そのものかもしれない。
ふんわりとした甘味にすっきりとするような渋味がさらりと喉を通る。
‘彼’が独自にブレンドした複雑な分量をこのカナルの花が引き出してしまったのが誤算だったが。
グレイユはちらりとユリティアを見るともう涙ぐんでいなかった。
逆に真剣な表情でじっと紅茶を見つめている。
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