波紋

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『グレイユ、今から言う話を誰にも言わないで。お父様に伝えるぐらいなら構わないけど。』 ユリティアはグレイユの目に視線を合わせる。 翡翠の瞳には強い意志がこめられている。 『私、アステロ王国に訪問するわ。そして、フォルトゥナを止めてみせる。』 ユリティアは乱れた前髪をさっと手で払い、グレイユの燕尾服の袖を掴む。 『ユリティア様、それでは……』 『分かってる。この世界を救うことは国を守ることに繋がるわ。例え、私を犠牲にしてもね。』 ユリティアはもう後ろには戻れない。 世界を救うために自分に出来るのは、これぐらいしかない。 アステロ王国にユリティアが訪問すれば、フォルトゥナは表立った行動は出来ない。 少しの時間は稼ぐことは出来る。その間に出来なければ、命をかけてこの世界を守る。 それがユリティアの決意だった。
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