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グレイユがアステロ王国の首都を通り過ぎる時に、ユリティアは下に目を凝らす。
家は崩れ、そこら辺に死体が散らばっている。
時おり生きている人を見かけたが、もはや人ではなかった。
背中を曲げて、服はボロボロで、野心がぎらつく瞳が獲物を求めていた。
崩れていない家から女性が現れると、獣たちは一斉に襲いかかる。
女性の悲鳴が辺りに木霊した。
助けるものなど居なかった。
『グレイユ、行きましょう…』
様子を伺ってホバリングしていたグレイユは王宮へ向き、翼をはためかせる。
ユリティアは女性がどうなったかは見たくはなかった。
獣に襲われた哀れな女性が悲痛な叫び声をあげている。
もう、ユリティアは振り返らなかった。
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