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『我、蒼竜の力を受け継ぎし者なり…』
グレイユが両手をかざすと、水球が仄かに光り、一人の少年の姿が映し出される。
『聞こえますか?グランシャルアス。』
グランシャルアスの瑠璃色の瞳がゆっくりと開かれ、口を動かす。
『聞こえてる…何か用か?』
どこか渇いた声にグレイユは不思議がる。
『ユリティア様の記憶の封印が解けそうなのは本当ですか?』
『ああ、そうだ。俺が弱ったことでな…』
グランシャルアスが目を閉じてしまい、話すことは出来なくなってしまった。
グレイユは水球を破裂させてもとの気体に戻すと、ユリティアの側へ行く。
乱れた布団をかけ直すと、グレイユはユリティアの髪を撫でる。
艶のある綺麗な雪のような髪がグレイユの指からさらさらと落ちていく。
『お休みなさいませ、ユリティア様…』
グレイユはソファーに座ると、目を閉じた。
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