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ユリティアはそっと足元を見ると、真っ赤な花に立つ2本の足はあった。
〈我が名はツクヨミ、魂を喰らう火馬よ。〉
ツクヨミは優雅に白銀の焔を揺らめかせながら、ユリティアの元へと来る。
〈死神は来れんぞ。〉
ツクヨミはユリティアの頭を鼻で軽く押す。
ツクヨミの話によると、死神がユリティアのことを心配してツクヨミを送ったらしい。
ぽとりと真っ赤な花に滴が落ちる。
ユリティアは泣いていた。自分でも分からないのに…
どうしてこんなに苦しいのだろうか…
ツクヨミは泣くユリティアの横に立つと、白銀の焔をユリティアの周りに煌めかせる。
白銀の焔はユリティアを傷つけることはなく、むしろ、温かくて優しかった。
〈闇の根源を断てば奴も出てくるだろう。時間はない、いざとなれば我を呼ぶが良い。では、さらばだ。〉
白銀の焔がユリティアを包み込むと、一瞬でぼわりと消える。
〈お前はこれで良いのか?〉
ツクヨミの言葉に反応するように風が真っ赤な花を揺らしていく。
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