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考えがツールに通じたのか、解説をされる。
「あぁ、初期型のデメリットに遅効性の精神崩壊がありまして、クヒヒ、解決の為強化の度合いを下げたらこうなりました」
やはりこいつらとの契約は切る、と司令官が思った時、
『緊急連絡、ミラージュの部隊が確認されました!敵は離脱中、追撃を!』
基地にサイレンが鳴り響く。ミラージュの部隊らしい、司令官が部隊に指示を出そうとしたが、
「クヒヒハハ!丁度いい、PH05のスペックを見せるチャンスだ、準備しろ!ハハ」
ツールが勝手に言い、PH05が部屋を出ようとする。
司令官はツールの胸倉を掴み、動きを止める。
「貴様らの助けは借りん!」
ツールも司令官を睨み返す、目から悪意が滲み出ている。
「人殺しが倫理を語るなんて馬鹿馬鹿しくないですか?クヒヒ」
『司令、指示を!』
通信で兵士から指示を煽られる。離脱される前に指示を……!
「代理のものです、レイヴンを出すので貴方達は見失わない様に」
司令官が否定するより早く、兵士が通信を切る。新兵の為、確認をする習慣がなかったようだ。
「クヒヒハハハハハハハハ!!ご安心を、PH05はただの人間ごときより数十倍働きます!クヒヒ!」
ツールが通信中、我慢したのを解き放つ様に笑った、勝利を確信したような笑いだ。
今更、もう一度指示を出すよりこいつらを使った方が速い。どころか、ミラージュを見失う確率が高い。
「貴様、自分が何をしたのか分かっているのか?!!」
司令官は激昂しているが、
「仕事は確実にこなしますよ、クヒヒ、コレは」
ツールは作戦の成功しか考えていない。司令官とは思考が致命的に違う。
ならば……
「しくじれば貴様ら両方とも銃殺だ」
さすがにツールも動揺している、こんな事になるとは思わなかったか。
PH05は完全に無視して、司令室を出た。
「交渉成立だな」
「ハハ、冗談を……」
途中まで言い、奴も本気だと気付いたのだろう。
ツールは慌ててPH05をオペレートする準備をする。
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