1日目~偵察部隊撤退支援

7/8
前へ
/52ページ
次へ
「とは言え……!」 相手は化け物だが、時間稼ぎなら出来ない事もない。 幸い、敵はMTを無視してこちらを狙って動いている。ここまで距離が離れれば、ECMやら密林の地形やらで探しきれないはず。 そして、敵ACの弱点がなんとなく分かって来た。敵は実戦経験に乏しい。 こちらはブーストで下がりながら移動ーいわゆる『引き撃ち』であるーしているのに、敵は馬鹿正直に追って来てくれている。 しかも定期的に、OBで間合いを詰めようとしてくる。いくら強化人間でも、OBの準備状態では動きが鈍る。 そこを逃さずに、両腕のスナイパーライフルを放つ。 敵は避けようとするが、発熱を恐れ、あまりブースタを吹かせない。 結局、スナイパーライフルは直撃しないだけで確実にダメージを与えている。 経験があれば、引き撃ちに対して無策で突っ込む様な真似はするはずがない。 OBにしても、空中で準備するなり、近くの木々に隠れて準備するなり考えつくが、経験に乏しければそんな発想はしない。 強化人間としての能力も邪魔をしているのだろう、格下ならば超反射と射撃精度だけで蹴散らせる。 だが、それだけで生き残れる程、戦場は甘くない。 「死にたくなければ離脱しろ」 BDは通信でそう告げた。 例え、この戦いで敵を倒してもクレストは次のレイヴンを雇うだけだ。そしてそれは確実に今の敵より強い。 企業からすれば所詮、レイヴンは替えの効く安上がりな兵に過ぎない。 ならば、AC戦はこちらが損するだけだ。 だが、強化人間に引くという発想はないのか、不利なのに追撃を続ける。いや、 「信じられないだけか」 先程、不意打ちをしたレイヴンを何故信じられる。 敵ACは性懲りもなくOBの準備をする、そこをやはりスナイパーライフルで狙う。が、 「ブーストだと!」 敵はOB準備中にも関わらず、ブーストで右側に向かう。 弾丸とEN弾は虚しく、近くの木に減り込む。 更にOBの加速で右側に旋回する。 長距離用FCSではOBの加速を捉えられない。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加