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「それはな、ゲリラのACが強過ぎるからだ」
ゲリラのACが?
「あれはバーテックス抗争基準でも上位に位置するレベルだ」
不可解を通り過ぎて意味不明である、そんな人物は一人しかいないが奴がゲリラに堕ちる理由がない。
「ラストレイヴンか?!」
珍しくエウクランテが答える。何故か高揚している。勘弁して欲しい、そんな化け物倒せる訳がない。
ラストレイヴンとはバーテックス抗争を(戦って)生き残った唯一のレイヴンだ。
本名はもちろん、レイヴン名もAC名も分からない。だが、存在だけは確認されており、敵対したレイヴンを片っ端から薙ぎ倒した雇われである。
「実際にそうかは分かっていない、なにせレイヴンズアークに登録すらされていないからな、ただ、抗争を恐れたヘタレとは格が違う」
バーテックス抗争中は民間人を気取り、終戦直後にレイヴンに復帰した者もいたが、そんなヘタレがわざわざ勢力的に不利なゲリラにつくはずがない。
そしてレイヴンズアークに登録されていないとは、所謂モグリの傭兵を意味する。
『レイヴンズアーク所属のレイヴン』という信頼がないが故に、正規のルートでのパーツ購入や弾薬補給は不可能、依頼も真っ当なものはまず期待出来ない。
だが、パーツや弾薬を企業から横流しする闇ブローカーやアークを介せない依頼(企業本社襲撃や住民虐殺などアークの信頼を著しく落とすもの)が舞い込む事もあり、昔ほど『レイヴンズアーク離脱=傭兵としての終わり』ではなくなった。とは言え、生活が困窮するのは明らかでありアークに登録されていない傭兵はそれ程危険と考えていい。
とにかくここで大事な事は、ゲリラのACの正体ではなく、ゲリラのACが化け物と言うことだ。
「了解した、そんな化け物なんざこっちから願い下げだ」
「理解が早くて助かるよBD、近頃のレイヴンは自らの力量を弁えずに行動するからな」
ケビンは言い、エウクランテの方を向く。
「分かるかなエウクランテ、勝てない戦をするのは勇敢じゃない、無謀だ」
エウクランテは黙った。
「今日の所は休んでくれ、明日から作戦が始まるからな」
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