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透から、父親の件を聞いた。穏やかに笑って話す貴方が、無理していないことが解った。それだけでも、嬉しいと思えた。
「美佐子。今頃兄貴になったよ、俺。」
「透なら、いいお兄ちゃんになりそう。」
「最初はさ、お袋の為に納得してやろうかなって思った。けどさ、それじゃないんだよな?」
「きっとね、お義母さんからのプレゼントなんじゃないかしら?貴方、頑張ってるんだし、嬉しかったんじゃない?」
「かもな。」
なんだか穏やかな貴方は、何度も私に微笑みをくれた。
「ねぇ、どんな気分?」
「龍樹におじさんって、言われた時と似てるよ。何だろうな?無条件にサポートしてやりたいと思った。」
「きっとね、すんなり受け入れられたのよ。透も明さんも、孝志さんも。」
「許せるのは、同じような経験したからなんだろうな。全く同じだったら…ゾッとするけどなぁ。」
「それに関しては、しばらく苛められそうね。」
お茶を煎れる姿を、貴方が見つめている。
「何だろうな?結構な年数経ってる夫婦みたいだな。まだ3年生なのにな。」
冷やかすような貴方の声に、微笑みを返した。
「普通じゃない事も、いっぱいあったしな…」
「なんだか助けられてばかりね、私。」
「良いんじゃねぇの?俺が作った貸しを、回収する役回りで。」
「それだけじゃ、失格じゃない?」
「大丈夫ですよ。俺は、穏やかな生活が望みなんだし。」
「そうですか。」
「そうなんですよ、美佐子さん…」
甘えたように、私に凭れ掛かる貴方の体重が心地いい…
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