融解

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お祖父さんの一周忌に、私は初めて義弟である浪川孝志さんに会った。由美さんも初めてよってワクワクしていた。私達は、仲良く妊婦になっていた。 「あら、貴方は…」 「はじめましてじゃないの?」 「大志がさ、4ヶ月位の時にさ。俺、先輩の手伝いで帰れないって事があったの、覚えてない?」 「お祓いに行けって、メールした?」 「そ。その時の先輩と奥さん。今は兄貴とお義姉さん。」 「はじめまして。孝志の妻の加奈子です。」 「はじめまして。加奈子さん。透の家内の美佐子です。」 「はじめまして。明の家内の由美です。」 「お姉さん達、妊婦さんですか?私もなんですよ♪」 加奈子さんは、可愛らしくて。私達は、微笑みあった。 「あなた達、何してるの。さっさと上がりなさい。君…」 相変わらず元気な姉さん。私と由美さんもすっかりお株を取られている。『妊婦さんに何かあったらどうするの!?私が手伝うから、良いわね!』なんて明さんと透を黙らせた。 「その節は…」 「そうそう、お世話になっちゃって。あの背の高い子にも、お礼言えないままだったわ。ありがとう。」 「いえいえ。」 孝志さんの印象も、透が言っていたみたいな小生意気な感じを受けない。ただあの件の時には、こんなに優しい雰囲気は無かった。 お義父様も私達にとってお義母様とお呼びして良いのか解らないけど、お二人とも優しそう。 「意地悪な感じじゃなくて、良かったね♪」 「そうですね。」 私と由美さんは、安心した。
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