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ハルカの姿が見えなくなり、レイラは食後の紅茶を楽しんでいた。
「それにしても、勿体無いことをしてしまったな。」
「と、いいますと?」
後ろに控えていたライラが答える。
「なに、せっかく『魔法のない異世界』の『私』であり『男』という希少な対象を、私が魔法で全く同じにしてしまったばかりに、重要な研究材料を無駄にしてしまった。そうでなければ身体の隅々まで調べあげる価値のあったものを。
はぁ~……。世の中はなかなかどうして、ままならないものだ。」
「主様はそれで諦めるのですか?」
従者にそう言われ、しかし彼女は不適に笑う。
「私がそのような女に見えるか?」
「失礼致しました。」クスッ
「一週間後までに準備を整えておけ。異世界へとこちらから干渉させてもらう。実験材料(モルモット)を調達する。」
「Yes , my master . 」
レイラは堪えきれないとばかりに、嗤いだす。
「嗚呼、楽しみだ。
貴方のお教え通りに私は進んでおります、お祖父様。
『異界の者との邂逅は、この世界に大きな変革を齎すだろう。』、でしたね。
停滞しているこの世界に、どんな変革をもたらすのか。ハルカ、私はとても楽しみで仕方がないのだよ。」
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