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「あの…。職員室連れて行ってくれるんですよね…」
蓮華は先ほどの男子に職員室ではなく、人気のなく倉庫のようなところに連れて行かれた。いや、連れ込まれたとでも言ったほうが良いだろう。
「そんなこと言いましたっけ」
男子はくすりと笑い首を傾げ、入口を閉めた。閉めた音の後にガチャンという音が聞こえた。どうやら鍵をかけられたらしい。そして蓮華はやっと今自分の置かれている状況を理解した。
「 騙したんですね…」
「今更気付いても遅いよ」
口調が変わった男子はそう言ってしゅるりと自分のネクタイをほどき、蓮華のすぐ前まで歩き顔を近付けた。彼女は後ずさりたかったのだが、すぐ後ろは壁だった。男子の生暖かい吐息が顔にかかり、気持ち悪さで顔が強張る。
「抵抗しないんだ。もしかして君もまんざらじゃないとか」
男子は蓮華を隣に整理されていたマットに押し倒し、更に顔を近付けた。
「いい加減にし…」
蓮華が言い返そうとしたその時だった。バンッという大きな音とともに、鍵をかけていた筈の引き戸が倒れた。どうやら外を通った誰かが蹴り飛ばしたらしい。
「なーにやってんの。一年B組岸本裕也君」
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