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コンコン。 「失礼します」 俺の家は『鈴丘グループ』という企業を設立している。 日本有数の指折り企業の一つでもあり、ゲームや自動車、パソコンなどの電化製品を主に取り扱っている。 ま、それだけじゃないけどね。 「あぁ、来たね」 「ええ。それで? ご用件はなんです、キング」 椅子に腰掛けながら顔の前で優雅に手を組んでいる美形。 キングこと、鈴丘グループの総帥"鈴丘佑"(ユウ) この鈴丘グループを数年で有数の企業に伸し上げた手腕の持ち主。 「実はルーク……いや、律直々にやってもらいたい事があってね」 「俺に、ですか?」 ルークとはいわゆる俺の役職名だ。仕事の話をする時は決まってこの名前で呼ばれる。 と言っても、俺がルークという事自体を知らない人間の方が多いが。 「そ。一応仕事なんだけどね。今回は鈴丘グループの次期総帥"ルーク"としてじゃなく、鈴丘律としての事なんだ」 「へぇ。じゃあ、それは父親としてのお願いってこと? 父さん」 「そうなるね」 キング、もとい俺の父親はふっと微笑んだ。 ほんと、いつ見ても腹が立つほどに格好いい。 才能は受け継いだ俺だが、顔の形までは受け継げなかったわけか。 ……自分で言うとなんか虚しさが増すな。 「律ー? ちゃんと聞いてる?」 「えっ? あぁ、ごめん。何て言った?」 「だーかぁら、快桜学園に通ってって言ったんだよ」 ……は?
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