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「ごめん。もっかい言って」 「だから、快桜学園高等学校に通ってって」 「なんで?」 ぷーと頬を膨らませながら言う父さんの言葉を遮る。 快桜学園といえばうちが設立、管理している学校の一つ。 金持ちのボンボン坊ちゃんが主に通ってる有名校だ。 「確かあそこは辰巳が管轄してただろ?」 辰巳(タツミ)とは鈴丘グループに勤めている社員であり、今は快桜学園の理事長として学園を管理している。 「そうなんだけどね。どーも、うまくいってないらしいんだ。 ほら、あそこってお坊ちゃんが多いだろ? それこそ、いろんな企業の跡取りとか財閥の息子とか」 まあ、もとよりそんな連中が通うための学校だからな。 「そうなると、権力を使って"おいた"をする子がちょくちょく出てきたみたいでね」 「それを統一するのが辰巳の仕事だろ? また何でわざわざ俺が?」 眉をひそめて苦笑いをする佑を見やる。 鈴丘グループは謎の多い企業。 次期総帥の俺はおろか、現総帥の佑の名前ですら知る者はごく僅か。 その名前を隠す為に役職名が存在する。 意味がわからない。と意味を込めて更に鋭く佑を見る。 「まあまあ。そう睨むなよ。 言っただろ? これは父親としてのお願いでもあるって」 ふぅと息を一つ吐くと、佑は背もたれに預けていた体を起こして体制を整えた。 「だが、キングとしての命令でもある」 「――っ」 一気に空気が変わった。 さっきまでヘラヘラとしゃべっていた父親ではなく、キングとしての顔。 キングとしての佑はハッキリいって滅茶苦茶怖い。 鬼も震え上がるんじゃないかってくらいの眼光を直にあびた俺は固まって動けなくなる。 「快桜学園に通い乱れた環境の一掃。及び、鈴丘グループの次期総帥ルークであることを悟られないようにすること」 異論は許さないと言わんばかりの眼光。
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