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「そうなると、やることは必然的に決まってくるな……辰巳」
「はっはぃ!!」
「ふふ。辰巳さんビビりすぎだよ。さっきの話きいてた?」
「も、もちろんです!! すぐに手配します!!」
半ば叫びながら言うと、いそいそと部屋からでていった。
……焦りすぎだろ。
「はぁ」
進歩が見られない部下に溜め息をつきながら、残りのココアを飲みほす。
「なんか、凄くアッサリと決まったけど……気をつけなよ、律」
「何を?」
「いろいろ。ヘマして正体バレたらシャレになんないんだから」
口を動かしながら、空になったマグカップを片付ける唯。
「俺を誰だと思ってるの?」
「最高のビジネスパートナー」
即答。
流石、侮れない奴。
「なら、そのパートナーをもっと信じることだな」
「勿論。念のため、てね」
そう言いきると、どこか妖艶な笑みをうかべる。
「近い将来、人生のパートナーにもなってもらうから」
覚悟しておいて。と俺に近づき、耳元で囁く。
「…………?」
人生のパートナー……?
ビジネスパートナーとどこが違うんだ……?
考えろ、考えるんだ。
「律は気にしなくてもいいよ。考えるものじゃなくて、落ちるものなんだから」
唸る俺に、微笑みながら言った唯の言葉は、ますます謎を深めた。
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