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「ふあぁ~あ……なんだ?もう朝か」
小屋に差し込む光で目が覚める。この小屋に光が差し込むという事は外は既に正午に近いのだろう
ふと自分の身体に感じる重たさに内心呆れながら声をかける
「おいお前ら……揃いも揃ってなんで毎日毎日俺の寝床に潜り込みたがるんだ?あれか?最近の親離れは他人の所に寝床を移すことなのか?」
俺が毛皮で出来た毛布を引っぺがすと、キャンッというような鳴き声と共に数匹の犬型の魔物が転がり落ちる
正確にはシルバーウルフという魔物で狼なのだが、今のところの様子を見る限りただの子犬同様だろう
俺がまだ寝ぼけているらしいそいつらが毛布にまた入ろうとするのを邪魔して遊んでいると、小屋の扉が一人でに開く
「ああ、やっと来たか……全く、いつから俺の布団は子供夜間引取り施設になってるんだかねぇ……間違えて踏み潰したらどうする?」
『すまんな…その子らも甘えたい時期なんだ。そういうお前も満更でもないんだろう?』
開いた扉から入ってきた体高1mほどの巨大なシルバーウルフ、この子犬達の親ガルムに愚痴るが冷静に言葉をしていてくることに少し悔しくなる
今俺達が会話をしている方法は念話という方法で、魔物は大人になれば大抵出来るようになるらしい
『しかし、20年という時もあっという間に過ぎて行くものだな……お前がこの森に捨てられてから……か』
「まあ最初の頃どんな感じだったかは全く覚えてないんだがな……」
そう、俺ことラウル・シャリアがこの森に来た理由を語るには20年ほど時を遡る必要がある
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