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「明日行くか…。明日全てのことを話す。事情があって、俺の口からは言えないんだ。真実のことは、明日まで待ってくれるかな?」
「わかった。」
幸せだから、今となってはどうでもいいけど、裕一のことを知ることができるのは嬉しかった。
「それにしても綺麗だなぁ。」
まじまじと私を見つめるから、顔がどんどん赤くなる。
「立ってよ。くるっと回って。」
私は言われるままにした。
「もう一回。」
もう一度回る。
「あと二回。」
言われるままに…。
「って…目が回ります!」
と言ったと同時に私はふらついた。
「おっと…」
裕一が抱きとめてくれた。
顔が近くて、顔から火が出そう。
裕一の顔がさらに近くなる。
あと少しでキスというところで、ピタリと止まった。
「敬語で話したから、キスはなしだよ。」
「!?」
「キスが欲しいなら、裕一って呼んで。そうしたらしてあげる。」
無理だよ…。心の中では言えるけど、本人には…恥ずかしい…。
「あと10秒で言わなかったら一生してあげない。」
「え!?」
「10…9…」
どうしよう…
「8…7…」
「…裕一」
私は少し俯いて言った。
顔が熱い。
裕一ってこんなに意地悪だっけ?
「よくできました。ほら、顔を上げて。葵…それじゃあ、キスできないよ。」
優しく囁くように言う。
こんな状況じゃ上げられない。
「葵…」
もう一度優しく呼ばれて、私はゆっくり顔を上げた。
裕一は優しく微笑んで、そっとキスをしてくれた。
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