12人が本棚に入れています
本棚に追加
ふたりで美味しいディナーを食べて、久しぶりの会話をしたら、あっという間に時間は過ぎていった。
「葵、帰ろうか。」
「え!?」
「今日は帰ったほうがいいよ。」
裕一は苦笑いをした。
「なんで?」
今帰ったら、裕一がまた消えていなくなりそうな気がする。
裕一は無言で、答えようとしない。
「私は…帰りたくない…もう離れたくないよ…。」
泣きたいのを必死に堪えながら言った。
「ご…ごめん!お別れとかそういうのじゃないんだ!だからその…」
裕一の顔がみるみる赤くなる。
「…俺我慢できる自信がないんだ。手出しちゃいそうで…。」
私はようやく意味がわかり、恥ずかしくなった。
「だ…だから帰ろう!もう目の前から消えたりしないから安心して。」
「…私は帰りたくない。」
考えるよりも先に言葉が出ていた。
「…どうなるか分かってるの?」
私はゆっくり頷いた。
裕一はゆっくり近づいてキスをした。そして優しく抱きしめてくれた。
「…幸せすぎる。葵好きだよ。」
体を離し、悪戯っぽく笑った。
「覚悟してね。お姫様。」
最初のコメントを投稿しよう!