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「葵、こんな俺を好きになってくれてありがとう。幸せだ。」
そういって優しく微笑んで、キスをしてくれた。
少しずつ深くなるキスにドキドキして立って居られなくなりそうになる。
私このまま…
「プルルルル…プルルルル…」
内線が鳴っていても、キスはやむ気配がないから、少しだけ裕一から離れようとする。
でも裕一は、離れようとする私の体をさらにきつく抱きしめて離さない。
「プルルルル…プルルル…」
「…ゆう……んー…」
喋らせても貰えない私は、キスに応え続けるしかなかった。
「…ガチャ」
「離れなさい。」
静かだけど、怒りに満ちた声が部屋に響いた。
その声が聞こえた途端、裕一の温もりが一瞬にして遠のいた。
目の前には、黒のスーツを着た、テレビドラマにでてきそうなSPみたいな人が5人。
そして、その前に声の主である、男の人が立っていた。
「お迎えにあがりました。」
SPらしき人が会釈をする。
裕一の顔を伺うと、青ざめて声が出ないようだった。
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