月の光に導かれ

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月のきれいな晩だった。 空気は凛と冴え渡り、澄んだ空には大きな満月が浮かんでいた。 風の冷たさはまだ冬のそれだが、浮かぶ月は春の訪れを感じさせる見事な朧月だ。 そんな夜、月明かりに照らされた道を2人の男が歩いている。 ベン ベンベン 「三千世界の鴉を殺し主と朝寝がしてみたいー」 ベン ベンベン 「ちょっと晋作、下手な唄歌わないでよ。犬にでも見つかったら面倒だ」 「下手じゃねーよ。俺の三味線を聞けるなんて、稔麿は幸せ者だぜ?」 そんな軽口を叩きながら、三味線をかき鳴らし唄を歌い、2人は歩いている。 「見ろよ稔麿。今日は月がきれいだ」 「シッ!」 突然、月に見とれ感嘆する晋作を稔麿は鋭い息で黙らせた。 そして指である場所を示す。 「………なんだありゃ?」 2人の目線の先には淡く蛍の光のように明滅する青白い光があった。 その光は草むらから出ている。 スッ 稔麿が刀を抜いて草むらに近寄った。 注意深くそこを覗きこむ。 「「!?」」 そこには青い光をまとった茶色い髪の少女が横たわっていた。
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